2a5ea244.jpg「ネクロフィリア(屍体愛好)を性癖に持つ女性の姿を、リリカルな寓話として描いた異色作。監督はこれが長編デビュー作となる女性監督リン・ストップケウィッチ。」

ネクロフィリア(屍体愛好)なんてこの映画の予告を見るまで知らなかった。友人は「死体しか愛せないなんて気持ち悪い」と言った。確かに、理解できないし変態っぽい。普通なら私も見たいとは思わないだろう。でも、それだけで済ませられない惹き付けるものが予告の映像には含まれていたのかもしれない。

「長編デビュー作」というのだから、衝撃的な題材を扱って名前を売ろう思っているのかもしれない。そんな事を考えつつも、私はこの映画を見に行った。理解できないから知りたかったのか?理解を得られにくいものを題材にしながらも海を越えて日本に来た理由・良さを探してみたかったのか?

予想に反し、私はこの映画の世界に引きずり込まれた。この映画に出てくる男性が私の好きな俳優であるヴァンサン・ペレーズだったら良かったのにと思ってしまったからかもしれない。そのせいか、最後のシーンでは本当にヴァンサン・ペレーズに見えた。これ程までに引き込まれたのは、後にも先にもないと思う。

この映画を見た後、私は大学のゼミに参加した。ゼミまでには数時間あったにもかかわらず、まだ私は映画の世界から抜け出せずにいた。この時の私は別人のようであったらしく、他のゼミ生に心配された。

一体、何が私をそんなに惹きつけてしまったのだろう。主役の女性には「理解できない」と思いつつ、好きな俳優と重ね合わせた男性に感情を移入しすぎてしまったのかもしれない。

私ももう二度とこの作品は見たくないと思う。嫌いだからではなく、1度目だから感じられたあの衝撃を大事にしたいから。良い作品ではないのかもしれない、他の人は見ることがない作品かもしれないけれど、私の中に「何か」を残していった気がするので不思議と大事な作品に思えてしまう。
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD30823/index.html

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